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なんでもかんでも「それっぽい」図にするのやめてくれ

考えてみた

しばらく前にこんな本を買ってたので読んでた。

IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン

IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン

 

 自分がいる界隈ではある意味教科書みたいな本ではあるのだけど、その中でこういう図があった。

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なんか「それっぽい」けど、よく考えるといまいちわからんところが多い図である。「デジタルタッチポイント」「人々」「ビジネスプロセスと技術環境」と書いてあるが、上のテキストには「いつでもどこからでも利用できる『エコシステム(生態系)』」と書いてある。当然利用するのは人だろうから、「人々」がこの中の要素として扱われてるのがよくわからん。この3つは同じレイヤーの存在なのか?

というかなんでベン図なんだこれ?ベン図を使ってるということはこの3要素の重なりが何かしらの意味を持つはずなんだけど、ここで語られてるのは3要素は「有機的に」結びついているということだけだ(そもそも「有機的」ってなんだ)。ベン図は「結びついている」ことを表す図ではない。

「デジタルタッチポイント」と「人々」には含まれるけど「ビジネスプロセスと技術環境」には含まれない状態「(デジタルタッチポイント ∩ 人々)∩ (ビジネスプロセスと技術環境)c」とかがあるはずだけど、そういった状態はこの話の中でどういう意味を持つのだろう。

 

他にもこんな図もあった。

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UXには「ビジネス」「ユーザー」「プロダクト」の3つの視点があるらしい(「さまざまな」と書いてあるのはさらにその下の階層も指しているのだろう)。

これ、下の図じゃいかんのか?

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なんでベン図にする必要があるんだ?というかビジネス・ユーザー・プロダクトの色が全部違うのは何の意味があるんだ?なんかすごいビジネス視点が重要です、みたいな風に見えるけどそうなんか?

というか「コンバージョン」「インタビュー」「ユーザビリティ」の3つがそれぞれの例として挙げられてるけど、インタビューだけが異質すぎる。他の2つが指標なのにインタビューだけが何かの指標を測るための行動になってる。なんかモヤモヤするんだ。

 

 

別にこの本の内容にケチをつけたいわけじゃないし、フワッとしてるUX業界(?)で用語の定義とかこういうモデルづくりをしてくれているのは非常に有意義なことだけど、どうにもこの界隈は図をそれっぽくして、結局その見せ方には何の意味もない、みたいな事が多い。

この界隈では泣く子も黙るIDEOのダイアグラムでもそうなっている。

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イノベーションを起こすためには「BUSINESS」「HUMAN」「TECHNICAL」の3つが必要だ、という図である。イノベーションというのが何なのかはともかく、まだ前の2つの図よりは意味がわかる。3つはそれぞれ分野を指していて、その3つの分野が交錯するところにイノベーションがある、というのはベン図を使って表現してもいいかもしれない。

けど、せっかく3要素のベン図を使うのであれば「HUMAN」「TECHNICAL」は満たしているが「BUSINESS」が欠けているとはどういう状況か、その具体例として失敗したプロジェクトはどういうものだったのか、をつけてくれるとこちらとしては嬉しい。「あ、やっぱりBUSINESS視点も必要なんだ!」と理解ができる。

 

なんか言いたいことがわかるけど、図として「それっぽく見える」ことを意識しすぎて、結局肝心のところがボヤけてしまっている図って本当に世の中に蔓延していると思う(別にUX界隈とかだけじゃなく、普段つくってる提案書の図とかもこういうの多いのではないだろうか)。

情報はその中身だけじゃなく、見せ方にだって意味が生じてくるので、そのあたり気をつけて生きていきたい次第です。