読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

デザインの対象範囲をひとつ広げてみること

考えてみた

会社の近くにコーンが立っていた。

f:id:toruyy:20160503193552j:plain

普通に帰り道にあるので目に入ってはいたのだけど、「最近のコーンは光るんだな」程度にしか思わず特に注意を払っていなかった。

だけどある日、ふと「中に電球入ってるのか?」と思いコーンを傾けてみると、思いもよらない仕掛けがそこにあった。

 

f:id:toruyy:20160503193607j:plain

実は光っていたのはコーンではなく、コーンに隠されたフットライトだったのである。なんとも単純な仕掛けである、というか仕掛けと行っていいのかも分からない。

なんで「コーンが光ってる」と思ったのか?

すると一つの疑問が生まれる。なんでぼくは無条件に「コーンが光っている」と思ったのだろう。
フットライトなんかいくらでも見たことがあるはずなのに、その存在など予想もせずにいままで見たことが無い「光るコーン」を自然に受け入れていた。

たぶん理由は2つ。

フットライトが見えなかった

これが分かりやすい理由。コーンによりフットライトが隠されていたから(光は見えていたから完全に隠されていた訳ではないけど、すくなくともフットライトの外形は見えない)。
僕たちはやはり見えないものには注意を払いにくい。間接光を見たときに、光源が蛍光灯なのか電球なのか、その形をありありと思い浮かべる人は少ないと思う。ただぼうっとした光をそのまま受け入れるのだ。

地面が「見えていなかった」

そしてこちらが今回考える理由かなと思う。ぼくには地面の存在が「見えていなかった」。
目には入っていた。冷静に考えれば、光っている部分にはコーンと地面(正確には地面に敷き詰められたタイル)の2つのモノがあるのが明白なのに、ぼくはそこにコーンしか見ていなかった。おそらく、地面はそのときぼくが見ていた世界の土台、枠組みだったのだと思う。マンガの世界の住人が自分たちの描かれている紙の存在になんて気づかないように、ぼくはコーンと接している地面の存在に気づかなかった。

とにかく、光っているのはフットライトだった。けどそこにコーンをかぶせることで、「光るコーン」という、今まであまり見たことが無かったものを、とても簡単に実現してしまったのだ。
工作なんて必要ない。しかも、往々にして歩いているとまぶしく感じるフットライトの光をやわらかく拡散させ、さらに赤い光が目立つ、とても効率的な装置だ。

デザインの対象範囲をひとつ広げてみる

ぼくたちはふだん、何か目的を達成したくてデザインを行う。
たとえば「安全のためにコーンをもっと目立たせることはできないか」という目的のために、「形を奇抜にしましょう」とか「光るコーンをつくりましょう」とか考える。それはあくまで「コーン」のデザインだ。

そこで、対象範囲をひとつ広げてみる。
たとえば、「コーンを光らせたい」と思ったら地面を光らせたらいい。もっと本質的に言うと、「安全のためにコーンをもっと目立たせたい」と思ったときに、デザインする対象がコーンである必要は無いのだ。コーンを取り巻くもの、例えばそれは地面だったり、まわりの空気だったり、はたまたその横を通る人間かもしれない。
テーマに対して盲目的にならないで、それを取り巻くものに注意を向けてみると、案外問題の解決方法はすぐそこに転がっているかもしれない。