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モヤモヤしたまま終わった、『シュタインズ・ゲート・ゼロ』クリア感想(ネタバレあり)

 

 

2015年12月10日に発売した『シュタインズ・ゲート・ゼロ』(以下「ゼロ」)を1週間程度かかって全6種のエンディングをクリアしました。すごく面白かったのだけど、なんとなくモヤモヤした部分が多く、自分を納得させるためにも感想を書くことにしました。完全にネタバレありです。

ちなみに、最初は普通にプレイした結果スムーズにバッドエンドに吸い込まれていきましたが、このゲーム、自分はゲームとして楽しむのではなくただストーリーを読みたいだけなので、2週目以降はどこで分岐が発生するか完全に調べながらプレイしました。

 

追記

2016/07/17追記 この記事をたまたま読んだ同僚に「長いわりに攻略情報が載っていなくてイライラした」と罵りの言葉をもらったので、簡単ですが攻略記事も描きました。

 

感想

前作の『シュタインズゲート』(以下「前作」)をプレイした時、自分の選択によって世界がガンガン変わっていき次へ次へ読ませていくストーリーと、物語中に散りばめられた伏線を一気に回収したあのトゥルーエンドで完全にやられました。(手法自体は「夏への扉」以降のタイムトラベル過去改変モノに属するとは思いますが、そんな過去改変の物語が幾重にも織り重なったうえで、ストーリーとして破綻なく最後にパチっとはまっていくのは他に類を見ない完成度だと思います)
そんな前作の「正統続編」、しかも「紅莉栖を救えなかった未来の話」ということで、買わないという選択肢はありませんでした。(『比翼恋理のだーりん』とかのスピンアウトには手を出してませんでしたが)

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キービジュアルの一部。イラストを手がけているhuke氏はさすがに良い仕事をする。(改めて見て気づいたけど、紅莉栖が泣いてるように見えるんだな)

とりあえず思ったこと

プレイして最初に思ったのは、「はじめから結果がわかっているのに、そこに至る経緯だけでこんなに面白いとは」という新しい驚きでした。「紅莉栖を救えなかった未来の話」を描いているという時点で、2025年から前作のオカリンに「世界を騙せ」というビデオ付dメールを送るところがゴールだということがわかります。最終的な結末がわかっているのになぜか面白い。新キャラの真帆もすごく良い。すごく良い。

ストーリー自体は前作よりも若干スリムになっている感じがします。前作が「大きく一本筋のストーリーがあり、選択肢次第ではそこから逸れて各ヒロイン(?)ごとのエンディングに向かっていく」のに対し、ゼロは「序盤の選択肢で大きく2つに別れ、その後も選択肢次第で微妙に異なるエンディングに向かう」感じです。

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ストーリー分岐はこんな感じ。大きく別れた2つのストーリーを行き来してトゥルーエンドに向かうことができる、という構成は見事です。ただストーリーをまたいで送られたDメールの扱いが微妙に軽かったですが。。

その結果なのかはどうかわかりませんが、ゼロでは2つのストーリーで全く設定が異なる点がいくつか出てきます。(椎名かがりの所在や、真帆がダルにPC解析を依頼するかどうかなど)
しかしその分岐点は、それだけの大きな違いを生み出すようなものであったかというとそうではない。ただ「スマホの電源を落とすかどうか」です。落とさないとロシアが過去改変を行ったうえ、かがりが阿万音由季の顔に整形してヒットマンになります。電源を落とすと紅莉栖にそっくりのかがりがラボを訪れ、場合によってはかがりに紅莉栖の記憶がインストールされている。あのスマホ操作がそれだけの大きな違いを生み出した、というのがどうしても説明出来ないのです。

他にも、かがりの記憶を取り戻そうとスマホを使ったとき、自分から電話をとるか、かがりに促されてとるかによって分岐が発生しますが、自分から取りに行くとなぜかいきなりα世界戦に飛ばされ紅莉栖と再会します。たしかにあのシーンは胸にグッとくるものがありましたが、「自分から電話を取るかそうでないか」がなんでそんな違いをもたらすかがわからない。

唯一理解できるのが、ダルの隠し部屋でアマデウス紅莉栖からの着信を取るか取らないかの分岐。着信を取ると、真帆のオフィスが荒らされたことを知り、すぐに嫌な予感がしてビルを脱出しますが、真帆がタイムマシンの存在を知るのが「施術」後になり、バッドエンドへ。着信を取らないとビル脱出が遅れて若干波乱が起きますが、真帆がタイムマシンの存在を知るのが早く、帰国後にレスキネンのことなど気にせずタイムマシン研究に走ることになり、トゥルーエンドへ。これはわかる。
ただ全体的に「説明できないバタフライ効果」が多かった気がします。

 

モヤモヤしていることと、自分なりの回答

見事な伏線回収で脳汁ドバドバだった前作に比べ、ゼロはクリア後も「で、結局アレはなんやったん?」ということがいくつかあります。なんだか腑に落ちないので、自分なりの回答を考えてみることにしました。

Q1. 沖縄で見たアマデウス紅莉栖はなんやったん?

(たぶん)ロシアが過去改変を行い、第三次世界大戦が起きた世界線。正直「なんでスマホの電源を落とさなかったらロシアが過去改変を行って、落としたら過去改変を行わない(世界線移動が起きない)のか」がわかりませんが、それは置いといて、その世界線シーンの最後に、アメリカの手引によってオカリンとアマデウス紅莉栖が再会し、その直後に世界線移動が起きます。
この世界線移動に関して作中で説明は一切ないのですが、おそらく「アマデウス紅莉栖はレスキネン教授またはレイエス教授によって米軍に持ち込まれた」ものであり、二人が再会した瞬間に「アマデウス紅莉栖が自分のタイムマシン研究をオカリンに共有し、将来的にタイムマシンでロシアの行った過去改変をなかったコトにする」のが確定したからなのかなと思います。いちおう説明はつく。

ただ本来、世界線移動は「過去改変を行った」結果生じるものであるはずで、オカリンとアマデウス紅莉栖が出会った瞬間はまだ過去改変はされていないので世界線移動は起きないはずなんですが、、そこはよくわかりません。

Q2. 真帆エンドの最後の紅莉栖はなんやったん?

真帆エンド「存在証明のオートマトン」でアマデウス紅莉栖のデータが削除される直前、違う世界線から来たっぽい紅莉栖が登場します。「私達が目指すべき世界線」という言葉や、鳳凰院凶真のことを知っていること、さらには「自分がアマデウスの中にいることを知らなかった」ことから、おそらくこの紅莉栖はα世界線、すなわち、前作でオカリンがまゆりを救わないことを選択した世界線での紅莉栖なのでしょう。別ルートでオカリンがα世界線に飛ばされた時、紅莉栖は独自にタイムリープマシンを作っていました。それを使って自分の記憶を過去に飛ばしたところ、なぜか別の世界線の、しかもアマデウスの中に入ってしまったのではないかと。
ご都合主義的な感じもしますが、これくらいは許してあげても良い気がします。

Q3. 結局かがりの存在はなんやったん?なんで紅莉栖に似てたん?

ぶっちゃけゼロの中でいまいち存在意義がよくわからないのがかがりなんですが、彼女はいつ洗脳されてたんでしょう?バッドエンドではレスキネン教授が「2036年の自分がかがりに命令を出している」と言っていたので、洗脳されたのは2036年なんでしょう。そして1998年にタイムトラベルした時、その洗脳によって鈴羽を攻撃して逃亡。その後いろいろ、という感じです。そういえばどこかのシーンで「元気なのになぜか入院が長引いてる」シーンがあったので、その時に洗脳されたと推測することも出来ます。(そのシーンではレスキネン教授の影は一切なかったのでなんとも言えませんが)
というか、そもそも彼女はなぜ紅莉栖そっくりなんでしょう。オカリンもびっくりするくらいのそっくりさんなので、何かしら理由があってほしい気がするのですが、作中ではそこには一切触れられません。ここは「単なる偶然」なんでしょう、悲しいことに。紅莉栖の記憶がインストールされ、かがりの姿と紅莉栖がダブって見える、そうしたビジュアル上の演出目的なのかな、と思いました。(もしかして、過去にタイムトラベルしたかがりがその後いろいろあり、実は紅莉栖の母親だった、みたいなのを想像してたのですが、そんなことないようです)

何をトリガーにしてかがりが阿万音由季の顔に整形することになるのかよくわかりません。この設定必要だったんやろか。。しかもトゥルーエンドでまた元の顔に戻ってるのですが、これはまた整形しなおした、という理解です。しかも1998年から2025年まで順調に年を重ねているはずなので、この時37歳かな?

Q4. まゆりと鈴羽はどこ行ったん?オカリンはどこに何しに行ったん?

これがわりと最大の謎。トゥルーエンドに続くストーリーで、2011年にまゆりと鈴羽が2人で過去へとタイムトラベルし、2025年にオカリンがタイムトラベルしますが、彼らはどこに何をしにいったのか。作中ではなんとなく説明されていますが、結構ごまかされてる気がします。よく分からないのでとりあえず整理します。

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主な出来事を整理してみた。ゼロのストーリーはトゥルーエンド前提です。

上図を見てわかるように、ストーリーが分岐してシュタインズ・ゲート世界線に行くためには以下の2つの条件をみたす必要があります。

  1. 2010年8月21日にまゆりがオカリンにビンタして喝を入れる。
  2. 2025年から2010年8月21日へとオカリンがdメールを送る。

ゼロをプレイしはじめた自分は当初、「シュタインズ・ゲート世界線に向かうには②を満たせばよい。したがってゼロの最終的なゴールは過去のオカリンへとdメールを送ることだ」と考えていました。しかしよく考えるとゼロの世界線は「まゆりがオカリンをビンタせず庇った(その結果岡部が紅莉栖を救うことを断念した)」世界線なので、その事実をなかったコトにしなければなりません。だからゼロでまゆりは鈴羽とともにタイムトラベルして「彦星様に気合を入れにいく」のです。つまり、前作をプレイしている時、オペレーション・スクルドが開始された時、じつはまゆりによって過去改変が行われていたということです。(その世界線移動をオカリンが感知した様子はありませんが、なぜかは不明)

しかし、前作でオカリンが紅莉栖を救うためにタイムトラベルしたときと同じように、まゆりがタイムトラベルした先には、その時間を生きているまゆり本人がいるはずです。オカリンが紅莉栖を気絶させた時とは違い、タイムトラベラーまゆりがオカリンに直接干渉するタイミングはなさそうなので、未来からきたまゆりが直接オカリンをビンタするのではなく、過去のまゆりに何かしら干渉して、オカリンにビンタするようにする必要がありそうです。そんなことが可能なのだろうか。。(厳密に言うと、まゆりがビンタしなくてもオカリンが諦めないような何かしらの干渉をすればよいのですが、そんな手段があるのか謎)

さらに、トゥルーエンドでは「まゆりと鈴羽が乗ったC204型は、バッテリーが切れた事で、正常な時空間転移ができなくなっていると推測された。」と書いてあることから、そもそも2人は2010年8月21日には到達していない、もしくは到達した後で未来へ帰ろうとしたが帰れていない状態のようです。(なんでそんなことがわかったのかというと、オカリン視点で世界線変動が観測されないからでしょうか。しかしそもそも世界線が変動するためには2025年からdメールを送る必要があるので、そのメールを送って初めて「世界線変動が起こらない→まゆりが2010年8月21日にたどり着いていない」ことがわかるはずなのですが、このあたりも詳しく説明はされていない)

「C193型で彼女たちを見つけ出した後、積んである予備のバッテリーを私、この時代に帰還させる」ことが「オペレーション・アルタイル」のゴールとされていますが、このオペレーションを達成するとどうなるのでしょうか。
まず、オカリンは2025年にタイムトラベルで帰ってくることはありません。オカリンは2025年にこの世界線から消滅することが確定しているからです。したがって、オペレーション達成と同時に世界線が変動すると予想されます。(「可能ならば、岡部もともに帰還する」と書いてありますが、世界線変動によって帰還が可能になる、ということかな?)
しかし、大本の設定では、世界線変動の記憶を持つのは基本的にはオカリンだけのはずで、つまり世界線が変動したらまゆりと鈴羽が「この時代に帰還」することは不可能のはずなのです。(シュタインズ・ゲート世界線に移動しているはずなので)
ここだけがどう考えても辻褄が合わない。話が複雑すぎて図式化することもできない。。誰か教えてほしい。謎です。

Q5. フェイリスは30歳超えても「〜だニャ」って言ってんの?

にわかには信じがたいですが、どうやらそのようです。

まとめ

総じて、「前作に比べて物語の精度が粗い」という感じです。というよりも、「前作に対して後付けで設定を足していった結果ごまかさざるをえない箇所が出てきた」というように見受けられます。(実は自分の読解力が低いだけで、上に上げたような疑問にはきちんとした答えがあるのかもしれません、誰か知ってたら教えてほしい)

また、全体的に前作に比べてストーリーを追いかけるのが難しくなっているように感じました。これは前作と異なりゲーム内の世界線移動とストーリー分岐(いわばプレイヤー側の世界線移動)が一致しないからかなと思います。前作はストーリー分岐=それぞれのヒロインエンドの世界線という分かりやすい構図があったのですが、今回の世界線移動は非常に複雑です。

とは言え、読んでて飽きないストーリーの引き込みっぷり、キャラクターの魅力はやはり素晴らしいと言わざるをえません。何より、どんな世界線になったとしてもオカリンを信じてタイムマシン研究を続けるダルの漢っぷりが最高でした。